指導教授と「留学の勧め」

 大学院の指導教授が研究に関しては学生の自由を尊重してくれたことは以前書いた(6月19日)。研究テーマを指導教授が与えることはなく、「結局、君が何をやりたいかだな」が口癖だった。もちろん研究指導での学生の報告に対して、さまざまな示唆はあった。この示唆をほとんど意味のないものと考えるか、強い拘束と考えるか、あるいは適切なアドバイスととらえるかは、院生によって異なったと思う。私は適切なアドバイスと受け止めていた。

 研究に関しては示唆に留まっていた指導教授だが、より強い勧告的に指導していたのが、留学であった。博士後期課程在学中の早い時期での留学を強く勧めた。私は研究者としてやって行くには留学は不可欠と考えていたので、指導教授のこの「勧告」について真剣に考えて、修士課程の途中から準備をし始めた。しかし、研究テーマに関しては示唆に留まっているのに、留学については「勧告」する指導教授に不満や不信感を持った院生もいた。

 留学したからといってただちに就職できるわけではないし、留学しない方が早く就職できる場合もある。しかし、研究者としての幅を広げたいと考えるならば、私も指導教授と同様、早い時期の留学を勧める。