授業料値上げ反対スト(2)

 ストライキの決議がなされた。ところで、ストライキはいかにして実行されるのか?ストライキが決議されたのは、学年末。授業はもうない。定期試験期間を残すだけ。

 果たして、ストライキは定期試験の中止というものであった。ストライキというよりも、試験ボイコットといった方がいいかもしれない。いずれにしても、試験はない、中止になったのだ。

 実は、授業料値上げ反対運動が盛り上がったのは、ストライキによって試験が中止になる、という話が広がったからでもあった。試験がなくなり、例年より早く春休みを迎えられると、多くの学生がストライキに賛成したのであった。

 試験が中止になった場合、成績評価がどうなるか、必要な単位が取れなくなるのではないか、留年するのではないか、といったことが心配されるが、そういったことは、当時ほとんど話に上らなかった。学生の多くは、試験がなくなることを喜んでいたようだったし、それ以上に、「運動」に参加することで気分が高揚していた。試験がなくなるということで盛り上がったという点からすれば、それは「運動」というよりも、2ちゃんねるで言う「祭り」に近かったと今では思うが、それでも、そこには大学当局という「権威」に抵抗するという意識があった(と参加学生の多くは思っていた)のだった。

 いずれにせよ、授業料値上げ反対運動は、ストライキ決行、試験中止という果実を勝ち得た。しかし、われわれはただちに春休みを迎えることはできなかった。われわれは試験中止の代償を払うことになった。われわれが勝ち得た果実は甘いものではなかったのだった。