授業料値上げ反対スト(1)

 学部学生の頃、授業料値上げを大学当局が画策し、それに学生が抗議し、とうとう授業料値上げ反対ストが決議されたことがあった。

 授業料が値上げされても在学生の授業料は入学時に決められているから、影響はない。在学生の授業料は値上げされることはない。したがって、反対運動は新入生のために展開された(ということになっていた)。

 学部の自治会は、学生運動時に崩壊していたから、授業料値上げ反対運動を展開したのは、学生有志ということになっていたと思うが、何らかのセクトの影響はあったかもしれない。いずれにせよ、立て看が設置され、ビラが配布され、学生有志が、「学生諸君!」、「授業料値上げに反対しようではありませんか!」と、一般学生に呼びかけた。反対運動は次第に熱を帯び、学生集会が開かれて、授業料値上げに抗議する決議が採択された。授業料値上げ反対の署名活動も展開されたように記憶する。

 学生の抗議にも拘わらず、大学当局は授業料値上げを強行しようとしていた。強行にどのように対抗するか、学生集会が出した結論がストライキであった。

 何度目かの学生集会でストライキ決行が決議され、わが学部学生は、ストライキに突入することになった。

 なぜストライキが決議されたか?ストライキの具体的方法が、学生にとって、きわめて魅力的だと思われたからであるが、加えて、大学当局への抗議にたいする「運動」の広がり、熱気が、学生たちの心を昂揚させたからでもあった。反戦運動学生運動を知らない世代の「運動」への憧憬が、そこにはあった。