ヨーロッパ統合を実感する

 1995年のシェンゲン協定によって、ヨーロッパ内(正確には協定国内)の出入国が簡素化された。協定国内の移動は自由になった。協定国内であれば国境を越えても国内同様に旅行ができる。日本からパリに入って、そこから飛行機でミュンヘンへ飛び、さらに鉄道でミラノに行く場合でも、パスポートコントロールは最初のパリで行われるだけだ。ヨーロッパ統合の進化と深化を実感できる。

 もちろんシェンゲン協定が結ばれて協定国内を自由に移動できるようになったというニュースを読めば、以上のことは行くことなしに理解できる。しかし、協定国内の移動は国内旅行と同じだから空港の免税店も必要がない、免税制度は廃止すべきだという議論が起こったこと、それに対し免税店と免税店従業員が「免税廃止反対」のポスターを掲げて反対運動を展開していたことなどは、行ってみないとなかなかわからない。