割り勘

 最近はM川先生、学部同僚の飲み会には出席しないが、以前はよく参加していたらしい。進んで幹事を引き受けていた。幹事といっても店を取るのは年配の教員に任せて、飲み会の席で料理、酒の注文、勘定を引き受けていたのだが、それでも進んで幹事役をするものだから、「感心なやつだ、若いのに気が利く」と同僚の受けもよかった。

 ある日の飲み会のことだった。いつものようにM川先生が幹事役を引き受け、楽しく飲み、食べ、語った。勘定の段になった。割り勘ということで幹事役のM川先生が計算して、みんなから集めた。ところが、割り勘にしたはずの勘定がどうも合わないことに、ある年配の先生が気がついた。どうも高すぎる。不審に思ったその先生が計算してみたところ、合計金額が人数ではなく、(人数-1)で割られていたのであった。M川先生が、自分を除いて、割り勘にしていたのである。割り勘の計算ができないうちの学生(7月28日「中の中」参照)とは大違いである。

 その後、M川先生が同僚から飲み会に誘われることはなくなった。