ハンドアウトを配らない理由

 以前は配布したことがあるのだが、原則として今はハンドアウトを配らない。板書したもの、あるいはパワーポイントのスライドのうち、各自必要だと思ったことをノートにとるように言っている。
 もちろん学生からは苦情が来る。答えはこうだ。
 「漢字の学習も兼ねている!」
 実際、多くの学生が漢字を正しく書けない。まあ、そう言っている教員の方もときどき怪しいことがあるのだけれど、だからといって学生が書けないことを正当化できないし、許していいことにならない。
 
 何でこの記事を書き始めたかというと、学生から勧められた映画について検索していたら、結構人気のあるサイトが出てきて、その内容に感心して見ていたのだが、下の方に「サイトについて」とあったからだ。これはもちろん「」が正しい。せっかく人気があるサイトなのに残念だ。この間違いは他のサイトでもよく見かける。
 学生の答案でも「幣害」が多い。もちろんワープロなら「幣害」というミスは起こさない(私のATOK17では「へいさいと」は「弊サイト」以外に変換されないのだが、誤変換の方々はMS-IMEを使っているのだろうか?)のだから、ハンドアウトを配布せよという学生がいるかもしれない。それならばこんな例はどうだろう。

 知り合いに、聡という名前の人がいる。彼があるお店で買い物をしたときのこと。領収書をフルネームで書いてもらったのだが、店員はいったんとんでもない字を書いてしまった。もちろん気がついてあわてて書き順を間違えたふりをして直した。
 もう察しがついていることだろう。そう、店員は聡と書く代わりにと書いてしまったのだ!これは恥ずかしい、恥ずかしいだけでなく、場合によっては大事な客を怒らせてしまう。

 学生諸君、君たちが漢字に絶対的な自信をもっていれば、私もハンドアウトを喜んで配布しよう。しかし、諸君の答案を見る限り、ハンドアウト配布は当分ない。諸君には、板書を通じて漢字の練習をしてもらわなければならない。社会に出て恥をかかないために。