報告原稿

 大学院在籍中のこと。研究指導で、レジュメを見ながら発表する院生に、「大先生ではないのだから、レジュメを見ながら報告するのではなく、しっかり報告のための原稿を書いてきなさい」と、我が師匠は厳しく指導した。

 30分程度の報告であっても、そのために原稿を用意するのは大変だ。それでも師匠の指導は正しいと思う。というのも、レジュメを用意して、それを読みながら報告しても、それが論文に直結することは少ないからだ。要点を列挙する作業と文章化する作業との間には、かなりの距離がある。せっかく研究を進めているのだから、研究を無駄にしないように、報告の際は報告原稿を用意したい。