続・製本バイト

 先日、貧乏学部生だった頃に製本バイトをしたことを書いた。

 たいてい1日で1万円の稼ぎになるバイトだったが、2年目の夏に1日で3万円ほど稼いだことがあった。


 8月の暑い日だった。その日はいつもより早く6時前に製本工場の最寄り駅に集合させられた。お盆休み明けの号で、住宅情報誌がいつもよりページ数が多くなるからという理由だった。発行部数が変わらなくても、ページ数が多くなれば、製本をするのにより時間がかかる。確かにそのときの号は、電話帳かと思うほど分厚かった。もっとも駅に着いた時点では、雑誌の厚さもどれだけ時間がかかるかも、全く想像できなかった・・・。

 6時過ぎに製本工場に着いたが、製本の対象、つまり印刷された紙が来ていない。印刷ミスがあったとのこと。製本ができないのだから、何もすることがない。アルバイト仲間と「今日は楽勝だな・・」と冗談を言いながら過ごしていた。工場の近辺をぶらぶら歩いたのは、そのときが初めてだった・・・。