指導教授の性格を知る(3)

 前の記事で書いた先輩の話。

 フルブライト奨学金をもらってアメリカ留学を考えた彼は指導教授に相談した。答えは否定的なものだった。

 「応募してもなかなか通らないんだなあ。」

 そう言われて引き下がってしまった。応募締切が過ぎたある日、指導教授とキャンパス内ですれ違って次のように言われた。

 「なぜフルブライトに応募しなかったんだね。」

 この話も散々愚痴を聞かされた。確かに同情すべき余地はあるのだが、これも指導教授の性格からすれば、「大変なのはわかっていますが、チャレンジしたいと思います。」と言うべきだった。そこまで言えば、「まあ、やれるだけ、やってみるんだな」という答えが返ってくるのだ。

 指導教授は保守的な人だったが、チャレンジ精神を持った学生が好きだったのだ(と私は思っていた)。