国際社会を知る

 海外へ行くと、当然のことながら国際社会の現実を知ることになる。

 はじめて海外へ行ったのは89年だ。貧乏院生だったから、ヨーロッパへ行くのに探した格安航空券は大韓航空のもので、7月10日出発で20万6千円もした。ベルリンの壁はおよそ4ヶ月後に崩壊して、東西冷戦構造が崩壊するのだが、出発時にはそんなことは想像できなかった。当時大韓航空ソ連との関係からシベリア上空を飛行できなかったのだ。成田からソウルに飛んで、ソウルからアンカレジを経由(給油)して、アメリカ大陸を横断し、大西洋を渡り、ヨーロッパに入ったのだ。東西冷戦の現実を大韓航空の機内で実感した。

 成田を発って、ヨーロッパへ入るのに20時間くらいかかったのだろうか。今なら指定しない窓側の席を取って、青い空と白い雲を飽きもせずずっと眺めていたことを思い出す。