勉強するコスト・叱られるコスト

 勉強ができない子にとって、勉強は苦痛以外の何ものでもない。できるだけやらないようにしたいと思う。彼、彼女にとって、勉強というのはきわめてコストのかかる作業なのである。

 もちろん勉強ができない、勉強をしないから、学校の教師、塾教師、家庭教師に叱られることになる。しかし、単に勉強をしないだけだから、叱られるといっても、不良行為で叱られるといったことに比べれば、たいしたことはない。

 親も本気で子供に勉強させようと思っていなければ、たとえ子供を叱ったとしても効果はない。子供の方も、親が本気で怒っているわけでないことを見透かしている。どのみちいつものように、すぐに叱ったことを忘れてしまうと思っている。せいぜい30分ぐらい黙って、はいはい返事をしていればいい。叱られるのも苦痛だが、そのコストは勉強に比べればたいしたことはない。

 勉強ができない、勉強をしない子供は、勉強するコストと叱られるコストを比較考量し、コストの低い方を選択しているのである。彼らは、しっかりコスト計算をして叱られているのである。