助手試験(2)

 英語を後回しにしてフランス語に取りかかる。

 簡単!
 拍子抜けするほど、簡単!
 こんな問題でいいのかというぐらい、簡単!

 2問ともすらすら読める。
 1問は自分の研究テーマにきわめて近い内容のフランス語だった。私が普段勉強しているようなことをフランス語で書いてある。専門のタームもバッチリだ。訳せないはずはない。
 もう1問。これも問題なし。こちらはなんと中止された勉強会で読んでいたテキストの内容にきわめて近い。こちらも問題なし。

 フランス語が簡単で、さっさと片づけることに成功して、手こずった英語に余裕を持って取り組むことができた。とりあえず何とか訳し終える。

 あとから、「フランス語が抜群にできていた」という話を聞いた。自分でも満点に近い訳だったと思う。それも当然だ。自分の専門分野、勉強会で読んだような内容が出題されたからである。
 勉強会は中止になったが、助手に採用されたのは、勉強会でフランス語を毎週読んでいたからである。彼女と彼女との関係の修復のために努力してくれた(そのときは虚しい結果をもたらしたが)後輩に感謝している。