助手試験

 フランス語の勉強会が破綻して2、3ヶ月経った頃だろうか、指導教授からある学部の助手試験を受けるように勧められた。
 試験科目は英語とドイツ語ないしフランス語。私はフランス語を選択。
 辞書持ち込み可の試験で、英語はリーダーズ英和辞典(研究社)を、フランス語はロワイヤル仏和辞典(旺文社)を持ち込んだ。どちらも普段から使っていたものだから、あちこちに書き込みがしてある。
 試験時間は2時間だったと思うが、2時間半だったかもしれない。この時間内で、英語、フランス語各2問、合計4問を和訳しなければいけない。どこかの専門書の一節をコピーして出題してあるのだが、英語は25-30行ぐらい、フランス語は20-25行ぐらいだった気がする。
 とりあえず慣れている英語から手をつける。2問あるうちの長い方の問題が・・・わからない。30行ぐらいの文章がどのような文脈で書かれているのか、それがわからない。辞書を持ち込んでいるから、単語の意味は確認できる、しかし、問題文の文脈での適訳を決定できない。

 あきらめた。

 とりあえず、無駄に時間が経過するのを恐れ、英語を後回しにして、フランス語に取りかかることにした。

 英語をさっさと片づけ、負担が大きいと思われたフランス語に時間をかけるという目論見は破れた。