早口の理由

 学生から「先生は早口だ」、同僚から「もう少しゆっくり話せ」と言われることが多い。
 
 早口になっている理由は2つある。1つはある作家のエッセイを読んでから。これは別の機会に書く。

 もう1つは外国語習得のためである。

 日本人が外国語が苦手、とくにリスニングが苦手な理由は、日本語がだいたいにおいてゆっくり話され、それに対して多くの外国語が一般に早く話されることに由来するのだと考える。英語であれ、フランス語であれ、ドイツ語であれ、バイリンガルの環境で育っているのでない限り、それらの言語を日本語より速いスピードで処理できるはずはない。かなり勉強したところで、日本語を処理するスピードには劣る。しかし、肝心の日本語のスピードがかなりゆっくりだから、早く話される外国語は当然処理できない。外国語を聞いて理解するためには、日本語をみんながもっと早く話すべきだと思うのだ。また外国人が話すスピードになるべく近づけることによって、コミュニケーションもとりやすくなると考えるのである(必要以上にゆっくり話される日本語は聞き取りにくい)。
 もちろん単に日本語を早く話すだけで外国語を流暢に話せるようになるわけではない。たくさん話す、それぞれの言語にあった口の周りの筋肉を動かす、といったことも必要だし、単語、文法の習得も必要である。
 しかし、みんながもう少し日本語を早く話して、耳からの情報処理能力を高めることができるようになれば、外国語の上達をもう少し早めることができるのではないか、そう考えたりするのである。
 まあ、経験からの話で、学問的に検証しているわけではないから、専門家からは異論が寄せられるかもしれないのだが。