3年ゼミで

 3年ゼミでは、各自が選択したテーマについてレジュメを作成し、それに基づいて発表をさせている。
 今日は、学生の発表の出来が悪かった。それなりに準備はしたらしい。しかし、仕上げをきちんとやっていない。レジュメは中途半端。参考文献は書いてない。質問に答えるのに、「ちょっと待ってください」と、ノート、資料を繰る。要領が悪い。

 うちの大学には多いタイプ。どうしてこうなるのか?ほとんどの場合、計画性の欠如、ゴール設定の欠如に原因がある。
 選択したテーマについて資料を集め、それを読む。次に彼らはそれをまとめにかかる。十分に消化しないまま、書かれたことをすべて織り込んで、要約的にレジュメをつくろうとする。うまく行かない、焦る、時間切れ・・・報告もしどろもどろ、質問にも満足に答えられない・・・怒られる。
 実際、かなり手厳しく怒った。

 
 彼らは、資料を集め、読むのだが、そのあとで、どのような報告をするか、構想しない、考えない。かなりの量の資料を集めているわけで、それをすべて織り込んで報告するとしたら、時間は足りないし、そもそもまとめるだけで相当時間がかかる。論点を絞らなければならないが、この作業をしない。
 与えられた時間は、20-30分である。与えられたテーマの中で、何が一番重要な情報か、論点は何か、時間内に何を伝えたいか、ポイントを絞らなければならない。20-30分程度なら、論点は3つ程度、多くても5つだろう。これに「はじめに」、「おわりに」をつければ、20-30分程度の報告は何とかできるはずだ。
 
 ポイントを絞れば、そのポイントについて説明しなければならないこと、歴史的背景、理論的背景、関連事項などが見えてくるはずである。1つのポイントについて5-10分程度だから、どの程度の記述をすればいいかも想定できる。調べたことすべてをレジュメに書かなくてもいい、口頭で説明するだけでもいいし、あるいはそれも省いて質問が出たときに答えてもよい(わざと省略することによって質問を誘発する手もある)。ポイントを絞っているから、話す内容についての理解も深まっている、報告がしどろもどろになることはない、質問に窮することも少なくなるはずだ。
 
 というような話を最後にしたら、学生もなるほどと頷いていた。

 ゼミは所詮練習の場、トレーニング、訓練の場。教室内での失敗は取り返しがつくし、社会で成功するための失敗だ。失敗しながら、恥をかきながら、学んでいけばいい。

 次回に期待だ。