旅する力…

 asahi.comに、沢木耕太郎さん『旅する力 深夜特急ノート』を刊行、の記事…。沢木の新著の書評記事…。

 「昔は学校だけが学ぶ場ではなかったが、今は学校しかない。意識的に作れる学校は旅しかないのではないか。学校以外のところで学ぶとしたら旅はいい選択」。だからこそ、若い人には「旅に出てほしい」

「たとえば、英会話を学ぶ若者が減っていると聞くが、自分をより高めようという意識が薄れているような気がして残念。みえでもいいから俺(おれ)はこんなことを知っているぞという姿を見せる努力をしてほしい。それをしないと、生きていく力をそいでいってしまう。一歩一歩自分の力を確かめながら未知の場所に行ってほしい」

 沢木の言に頷く。

 私はと言えば…。


 沢木耕太郎の『深夜特急ノート』を買ったことはあるが、それを「教科書」にして旅に出たことはない…。学部生の頃は旅に興味はなかった…。院生に入ったばかりの頃は旅する余裕がなかった…。

 状況が変わったのは、博士課程に入って留学してから…。留学先のあちこちの都市、地域、さらには隣国へ旅するようになった…。沢木のようにバスを利用することはなかったが、鈍行、夜行を乗り継ぎながら、あちらこちらへ出かけた…。金はなかったが、時間はあった(ので、もっと勉強すればよかったかもしれない)…。

 初めて行く土地へのワクワク感とドキドキ感…。着いてからの、安いけれど安心して泊まれる宿を探す苦労…と見つけたときの達成感…と何よりも安堵感…。夏でもお寒い懐具合と相談しながらの食事…。

 「金がもっとあれば」と思ったことは何度もあったが、ちょっとだけ豊かになって思うのは、あの頃のワクワク、ドキドキ感はもう味わえないということ…。もっともっとワクワク、ドキドキしておけばよかった…。

 とはいえ、まだ旅に出る力はある…。2009年もまた旅に出よう…。まあ、日常からの逃亡と言うところが本当だけれど、日常に戻ることを前提とした旅だ…。日常を生きる力を得る旅に出よう…。