入試に思う・・・

 以前、入試の出題を担当したことがあった。選択科目の1科目を担当したのだが、受験生の総合力を見ようと、他の科目でも出題可能な設問をつくってみた。他の科目との融合的な設問、他の科目の知識があれば解答がより容易な、総合的な設問のつもりだった。

 入試が終わり、年度が替わってから、受験産業の業者を招いての「入試問題講評会」のようなものが開かれたので、出席してみた。そこで、業者から私の設問が批判された・・・。


 「この問題は、(私が担当した)科目の出題というよりは、他科目の設問である」。したがって、「(私が担当した科目の)出題として、適当でない」というのが業者の言い分であった。

 業者によれば、たとえば世界史の科目では世界史の問題だけを出題し、主として日本史、地理、政経に属するような問題は、世界史に関連するとしても出題すべきではないという。なぜなら受験生は世界史の勉強をしてくるのだから・・・。

 1科目しか受験しないのだからなるべく(他の科目の力も含めた)総合的な力を見たい、どのみち入学したら両方の科目の知識が必要なのだ、それに私が設問で使った語句はすべて私が担当した科目の教科書に載っているのだ、というのが私の言い分だったが、口にはしなかった。

 業者は受験生や高校の教員の意見を代弁しているのだろう・・・。いずれにせよ、これをきっかけに私は受験や入試にますます期待しなくなったのである・・・。