なぜトンカツか?

 海外に行く前になぜ空港でトンカツを食べるのか?

 理由は簡単。空港にトンカツ屋があるからだ。もっともそば屋もラーメン屋もあるから、これでは解答にならない。

 理由は別にある。


 何年か前、ケンタロウという料理家のエッセイを読んだ。そのエッセイの中で、ケンタロウは「海外に行くときは、空港でトンカツを食べる」と書いていた。理由は・・・、忘れた。しかし、何ともうまそうにトンカツを食べる様子が書かれていて、それ以来、空港に来ると、トンカツを食したくなって仕方がないのだ。

 もちろん時間がなかったり、前日トンカツを食べていたり、その日のフライトが珍しくビジネスクラスだったりすると、トンカツ屋は問題なくスルーできるのだが、なんだか小腹が減ったとか、今日は時間があるなといったときには、トンカツが食べたくなる。そばでもいいし、うどんでもいい、寿司なんかもっといいのだけれど、こういったものを食べると、「ああ、しばらくこんなものは食べられないんだ」という気分になる。それに対してトンカツの場合は、ガツンと食べて、「よし、海外へ行くぞ!」という気になるのである。