アドリブで報告(教員編)

 研究指導や内輪の研究会ならばアドリブで報告をする院生もさすがに学外の研究会や学会であれば、きちんと準備をして臨むだろう。学外の研究会や学会でアドリブを交えて報告する研究者は、ほとんど教員だ。

 アドリブ主体で報告せざるを得ない理由はわかる。忙しくて、きちんとした準備ができないからだ。もちろんアドリブでそつなくうまくこなせる研究者は多い。まあ、うまくこなせる自信があるから最後はアドリブ勝負になるのだろう。しかし、それでもアドリブ主体は60歳以上の定年近い研究者だけにして、50歳代までの研究者はきちんと準備して報告してもらいたい。


 知り合いの50歳代の研究者の1人が実はアドリブで報告することが多い。いろいろな資料、文献を読んでいて、話題を提供することができる。話を聞いていてもおもしろい。質問をすれば、答えがすぐに返ってくる。けれども、それだけでは研究とは言えない。広く、深い知見をきちんと文字にして残して欲しい。学会や研究会に参加する人たち以外のためにも、しっかり著書、論文の形で伝えて欲しい。アドリブ主体の報告をやめた方がいいと言ったことが何度かあるが、今もアドリブ主体の報告だ。彼に期待するところが大きいだけに、実に残念だ。