商業主義とジャーナリストの質

 小林信也の批判は、ブラジル戦敗戦後の中田英寿の「パフォーマンス」に向けられた。


 試合後、中田はセンターサークル付近で10分ほど仰向けになり、顔を覆い、泣いていた。確かに悔しかったのだろうが、果たしてセンターサークルで泣くのが適切な行為か。小林によれば、ノーである。野球選手が試合に負けて、マウンド上で仰向けになって泣くことがあるだろうか、許されるだろうか、と小林は中田の「パフォーマンス」を批判する。泣くならば、別のところで泣けばいい、わざわざセンターサークルで泣く必要はない、というのが小林の意見だ。

 小林の批判は、中田の「パフォーマンス」をヒーロー的に扱った日本のメディアにも向けられた。日本サッカーを牽引してきたヒーローのワールドカップとの惜別という記事は「売れる」が、それでいいのか。もっとサッカーの本質的な部分で記事を書くべきではないかと主張する。要するに、小林は日本のジャーナリストをも批判しているのである。

 小林信也のこれまでの発言は知らない。しかし、昨日のラジオでの発言には同意する。というのも私も、たとえば「福原愛とインタビュー」で書いているように、日本のジャーナリストの質に疑問を抱いているからである。