高橋尚子を応援する

 今日、高橋尚子が走る。

 2年前、たまたま近くを通りかかったので、声援する人並みに加わった。往路は元気が良い走りで、見えたと思ったら、その姿はあっという間に視界から消えていた。マラソンの走りは、テレビで見るとゆっくりに見えるのだが、実際にはずっと速い。選手は一瞬にして応援者の前から消え去っていくのだ。

 この元気なら・・・という期待もあって、カフェで時間をやり過ごして復路も応援することにしたが、先頭で戻ってきたのは高橋尚子ではなかった。見えたと思ったらすぐに視界から消えたのは往路と一緒だったが、表情は厳しく、足取りも重かった。往路の高橋尚子はそこになかった。残りの距離での逆転を期待したが、それが虚しい期待であることは明らかだった。

 引き際を間違えたという人もいる。私の師匠もそのような見解を持っている。けれども、シドニーで金メダルを取った頃よりも、今の高橋尚子が私は好きだ。小出コーチから離れて自分でやっていく姿勢もいい。

 肉離れの報道など、好結果は期待できそうにない。負ければまた批判が寄せられるだろう。それでも高橋尚子を応援する。納得できるまで走り続ければいい。