科研費の応募をめぐって

 結果は否定的になるのだが、それでも私は科研費に応募する。しかし、そんな私は学部では少数派だ。わが学部で科研費に応募するのは所属教員の1割以下だ。大学から支給される研究費で研究は十分できるということなのだろうが、大方の教員は研究などしていない。

 科研費の書類づくりは面倒だし、自分の研究計画は否定されることが多い。どうでも良くなって、うちの学部の多くの教員のように、科研費に応募しなくてもいいように思うこともある。それでも応募するのは、科研費、その他研究助成の応募は、研究者としてやっていくんだということの証だと思っているからだ。たとえ助成を受けられなくても、自分の研究を見つめ直す機会にはなっている。研究をあきらめないということの意思表示ということでもある。

 何年か前、新任の若手教員に、副学長か誰かが「うちの大学は教育重視だ。研究は趣味だと思ってほしい」と言ったらしいが、こういう言説に対する抗議の意味もある。