徹底的に書く

 毎週レポートのゼミにしたのは他にも理由がある。

 うちの学生、ほとんどが中の中の学生だが、彼ら・彼女らは、文章を書くという経験が乏しい。長い文章が書けないし、書いても読むに耐えないものが多い。感想文になってしまうのも一因である。これでは社会に出て困る。会社員、公務員になれば報告書その他で文章を書かねばならない、教員になったら文章を書く機会はもっと増えるだろう、自営業だって組合の役員になったりしたらやはり挨拶文など書かねばならない。PTAや自治会の役員をまかせられることもあるだろう。そういうときにきちんとした文章を書かせるようにしたい。そういう思いがあったからだ。

 もちろん直接的な目的は社会科学の入門的な新書を読み、社会科学の視点で物事を考え、それを文章として説得力ある形で表現することにあった。しかし、このような形で読み、考え、書いていくことは、社会に出てからも十分に役立つと考えたのである。

 3年前期の実質10回ほどであったが、集中的に文章を書くというトレーニングを積むということは重要だったと思う。