素朴な「中の中の学生」

 中の中の学生がコンパで教員にお愛想を言わないことを書いたが、それは何もコンパの席に限ったことではない。

 ゼミのコンパをやろうと言うと、「先生とお酒なんか飲みたくないっす」などと平気で口にする。いやいや、こっちだってどうしても君と飲みたいわけではないんだよ、大学では教員と学生がコンパをしてね、いろいろ議論をしてね、そういう行為自体に意味があるんでね、ハーバーマスによればドイツでは会食クラブに社会的関係を超えて人々が集まってそこでの議論が公衆を作り出していってね(5月22日)、同じように大学も教員と学生が議論することによってつくられていくのだよ、などと思うが、「何でそんなに酒飲みたいんすか?」などと、正面切って言われてコンパができるはずもない。

 ゼミの教員の科目を履修しない、履修しても授業は休みがち、試験は一生懸命勉強しない。もちろんそれらの1つずつに、おもしろそうな科目ではない、1限の授業だ、試験勉強は面倒だといった理由はあるのだろうが、それを素直に出してしまってどうするのだ。思っていることを素直に口に出せばいいというものではない。

 問題は他大学の学生とくに一流と言われる大学の学生が、うちの学生が教員に対して言うようなことを言わないということ、そして、このことをうちの学生が知らないことである。