中の中と教員

 中学、高校の成績中位者というのは教員から一番遠い存在ではないのかと思う。

 成績上位者はクラス担任から注目されるし、成績下位者もやはり教員が注意しなければならない存在である。運動、芸術などで特別な能力を有しない限り、あるいは素行等に問題がない限り、成績中位者は教員から特別の注目を集めることはないだろう。成績中位者は教員からすれば、いわば安全パイな存在である。生徒側からすれば、教員からかまってもらえない、放って置かれる存在である。
 中学、高校と成績中位者は成績上位者、成績下位者に比べて、教員との会話が少ないのではないかと想像する。そうして、彼らが意識しているかどうかは別として、教師というものに対して不信感のようなものを抱いているのではないかという気がする。自分たちが教員から注目されているはずはないという思いこみがあるように感じる。

 これが結構困ることで、中の中と言っても、これは勉強の成績だけの話で、1人1人は個性的な存在なのだが、それが教員側に伝わってこないのである。中学、高校で教員と話をしていないのだから、大学で教員と話せるはずがないのは当然だ。おまけに中学、高校と違いクラス担任などという制度もない(いくつかの大学では導入しているようだが、うちの大学は未実施)。というわけで、機会をつくって学生とコミュニケーションを取ることが必要になってくるのだが、これがまたいろいろと大変である。