カタカナ語の言い替え

 英書を読んでいると、カタカナ語をどこまで日本語に訳せばいいのか悩むことが多い。

 昨日、センサスは「全数調査」 カタカナ言い換え35語発表という記事を読んだ。

 「外来語を分かりやすい日本語に言い換える検討をしている」国立国語研究所のサイトには、「外来語」言い換え提── 分かりにくい外来語を分かりやすくするための言葉遣いの工夫 ─というページがある。具体的な提案は、提案した語の一覧(第1回〜第4回総集編)にまとめられている。

 一覧を見ると、昨日書いた記事で使ったアーカイブ(archive)が筆頭に載っていて、「保存記録」、「記録保存館」という提案がなされている。もちろん、この2つだけでは意を尽くせないから、「記録、資料、史料、公文書館、文書館、資料館、史料館」といった、その他の言い替え語例も掲載されている。英英辞典を調べてもらえればわかるが、英語では記録、文書の歴史性が重要で、果たして言い替えがその意を表すことに成功しているか、疑問が残る。

 言い換えの提案がされているカタカナ語には、それぞれ理解度が星の数で示されている。アーカイブは、国民全体でも、60歳以上の中高齢層においても、星1つ(その語を理解する人が国民の4人に1人に満たない段階)である。こういう状態であれば、一般の人にたいしては、言い替えるのが適当かと思えるが、ならば本来の「歴史性」を表現するような言い替え語を示唆すべきだろう。

 アーカイブがカタカナで用いられレ、適切な言い替え語がないということは、この国が文書、記録をきちんと保存し、利用していくという慣習を、一般生活に浸透する形で持ってこなかったことを意味しているような気がするが、どうなのだろう。

 さて、英書を読んできたときにarchiveが出てきたらどう訳そうか?