抽象的で・・・

 英書を読んでいる。前回まではアメリカやヨーロッパの歴史の知識がないと読めなかった。しかし、これらは(手間はかかるが)調べればわかることだ。今回は文章の抽象度が高く、何を言いたいのか、ダイレクトにわからない。抽象的な単語が用いられ、それらに与えられる可能性のある訳語を考えながら読み進めていくのは、かなり疲れる。しかし、とにかく読み進めていかなければ、筆者の主張は理解できない。そうして、我慢して読んでいくと、ある時点で、「ああ、そういうことだったのか」と理解できるはずだ・・・、と信じていくしかない。

ラテン語の引用

 ヨーロッパの研究者が書いた英語を読んでいると、ラテン語の名言、格言等の引用に出合うことがある。院生のときに集中していて読んでいた研究者はとくにその傾向が強かったので、岩波から出ていた『ギリシア・ラテン引用語辞典』を買った。

 これはかなり重宝したのだが、大学院の書架において置いたら、不幸にも留学中に盗難にあった。他に、もう1冊ある大家の初期の文献もなくなっていた。後者はともかく『ギリシア・ラテン引用語辞典』は実家にでも置いておくべきだったと後悔している。

英書を読み始めたが・・・

 大学院の授業で使っている英書は論文集。章ごとに書き手が違う。今回の章を書いている研究者の英語は、少々わかりにくく、何度も『新編英和活用大辞典』を参照したくなった。ということで、カフェを出て、家に帰って本格的に読むことにする。

私が使っている辞書

 英書を読むときに、私が常用している辞書は以下のようなもの。

 リーダーズ英和辞典
 ジーニアス英和大辞典
 ロングマン現代アメリカ英語辞典

 以上は電子辞書に入っているもの。いつもカバンに入れている。

 新編英和活用大辞典
 プログレッシプ英和中辞典
 アメリカン・ヘリテイジ英語辞典

 以上はCD-ROM版を圧縮してPCにコピーして使用している。

 一番使うのは『リーダーズ英和辞典』、次に『ジーニアス英和大辞典』。あとは語義や訳語を考えるときに、適宜使っている。

 持っていると便利なのは、『新編英和活用大辞典』。動詞+前置詞、動詞+名詞、名詞+前置詞等々の組み合わせについて、例文とその訳が示されていて、重宝する。

 プロの翻訳家ではないし、読むのは専門書なので、以上でだいたい間に合っている(間に合わせている)。

その日本語、わかりますか?

 以前、ゼミで何か本を読もうということになったとき、海外の著名な研究者の研究書の翻訳本を選んだことがあった。学生と一緒に読み始めたのだが、内容がさっぱりわからない。まるで理解できない。そこで、元の英語の本を見てみると、よくわかる。翻訳がひどいのである。内容がわからず、日本語にしているだけという感じだ。

 こちらは英語版の方が理解できるし、学生にしてもどうせわからないのなら英語の方が勉強になるということで、さっさと英語で読むことにした。その後は、翻訳を訂正するような形で読み進めていったが、こういう英書の読み方もあり得るのかもしれない。

読み続けていると・・・

 大学院で読む英書の予習を続けている。まだ終わらないのだが、前回の分と会わせて50ページほど読み進めたことになる。このぐらい読んでくると、著者の英語にも慣れてきて読みやすくなる。

 最初、読みにくいと感じる英語であっても、我慢して単語を丹念に調べて読んでいくと、次第に読めるようになるはずだ。そういう状態になるまで、頑張って読んでみることも必要だ。

 逆に、結構なページを読んでいるのに、よくわからないということであれば、そもそもその英書が合っていない。つまり、研究に不必要な英書か、あるいは英書を読むだけの専門知識が不足しているかのどちらかだ。別の英書を読むか、まずは和書を読んで専門知識を身につけることをした方がよい。

 もっとも授業で使われているテキストの類ならばそうもいかない。その場合には、もちろん我慢して読み進めるしかない。私の担当している授業の受講生の中にも、このケースに当てはまる学生が何人かいることだろう。

構文を理解して読む

 専門英書を正確に読むためには、英語の構文が把握できないといけない。センテンスが長くなると、とたんに訳せなくなる学生がいるが、ほとんどが構文が把握できていないことに由来する。センテンスが長い場合、2つ、3つの構文が入り組んでいることが多い。構文を見抜ければ、難なく訳せるが、そうでない場合には、何が何やら全く見当がつかず、いい加減な訳をしてしまうことになる。そういう学生は大学受験で使った英語の構文や英文解釈の参考書をもう一度やるといい。

 大学院を受験するに当たって、英語の勉強をどうしようかと考えて、私はとりあえず大学受験用の英語の参考書を新たに買い求め、これを最初からやることにした。買ったのは、伊藤和夫の『英文解釈教室』である。最初は全問題自力で訳をつくって、模範訳と照らし合わせたと思う。全部終わったところで、もう1度最初から読んでいった。その後、旺文社の『英文問題標準精講』を読んだ。

 この2冊をしっかりやることによって、構文をきちんととって英文が読めるようになったと思う。今の版のものは知らないが、当時私がやった版では、いずれもやや硬い、こなれない訳がつけられていた問題があった。今もそのような問題があるならば、それらを添削するよう気で取り組むといいかもしれない。実際、私はそんなことをしながら、取り組んだ。

 今はもっと良い参考書があるのかもしれない。定評のある参考書を1冊選び、2度やってみると、英語が正確に読めるようになるはずだ。